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前ページ次ページゼロのペルソナ 女帝 意味…愛情・嫉妬 日本のとある片田舎にある地方都市稲羽市。 昨年こそ連続殺人が起きたり、アイドルや探偵が地元の高校に転校、また謎の霧が発生したなどで妙な騒がしさがあったが 今年はもともとの稲羽市らしい様子を見せていた。つまり何もない田舎町に戻っていたのだ。 そんな静けさを取り戻す町の中で3人の少年が姿を消した。 元の姿を取り戻しつつある町の中で再び起きた失踪事件は、昨年の事件を解決した者たちの心を波立たせた。 陽介、完二、クマたちが姿を消してすぐに里中千枝、天城雪子そして白鐘直斗らは捜索を開始した。 2、3日の調査の結果、彼らがこの町から出たのを見た者がいないことと、 地元の大型スーパージュネス付近で彼らを最後に見た証言が集中していることがわかった。 そのことから彼女たちは彼らはテレビの中に入ってから何らかの事情で戻って来れなくなっていると推理し、現在テレビの中を捜索していたのだった。 テレビの中は優しい風が澄んだ湖面を波立たせ美しい植物たちが咲き乱れる世界だ。ついこの間までは霧が立ちこめ、 恐ろしい怪物がはびこっていたのがウソのようである。 その美しい世界を取り戻したのは千枝たちであったのだが、彼女らには現在それを楽しむ余裕はなかった。 千枝に至っては優しげな世界の中で似つかわしくない今にも泣きそうな表情を浮かべている。 彼女は短いボブという髪型とジャージを好んで着ることからイメージできるよう活発な少女だ、男勝りとさえ呼ばれるほどに。 しかしここぞというときに気弱になりがちなのだった。 「ど、どうしよう!?花村たちぜんぜん見つかんない!」 湖畔の青々とした草原に、千枝、雪子、直斗らが話し合っていた。 テレビの中の世界を駆け回ったのだが、彼らの姿どころか痕跡すら見つけられなかった。 「しっかりして千枝!私たちが弱気になっちゃダメ!」 弱気を見せる親友を勇気付けるのは赤い服を着た少女、雪子だ。 青を基調とした探偵ルックの男装をした少女、直斗も頷く。 「そうです。慌ててはいけません。しっかりと落ち着いて探しましょう」 二人の仲間に励まされて千枝はこくりと頷くが不安は隠せない。彼女らはこの世界で仲間たちを見つけ出す手立てをもっていないのだ。 「霧が晴れてもこの世界は広いですから探すのも一苦労ですね」 直斗がそう言うと雪子がポツリと言ってしまう。 「りせちゃんがいてくれたらね……」 久慈川りせは彼女たちの仲間で索敵など、補助に特化した能力を有しているペルソナを使える。何度も彼女の力に助けてもらった。 そして今こそ、また彼女の力を借りたいところだが、そうもいかない事情があった。 というのはりせはりせちーという通称で親しまれた元人気アイドルで、彼女が稲羽市に来たのは休業のためであったのだが、 今年の四月から彼女は復帰して稲羽市を離れてしまったのだ。 しかも彼女は現在、映画撮影のために長期的に海外ロケに行ってしまっているのだ。 一年近く休業していたアイドルが復帰して一ヶ月足らずでそれほどの規模の映画に起用してもらえるなど幸運としか言いようがない。 だが彼女の力を頼りにしたい千枝たちが間が悪いと思ってしまうのは仕方がないだろう。 そういうわけで連絡もなかなかつかず、連絡が通じて帰ってきた答えは稲羽市に来れるようになるまで一ヶ月ほどかかるというものだった。 りせもいなくなった彼らを心配しているようだったが、彼女にはどうしようもないことであるので、今は仕事に専念するようにと連絡をしておいた。 「りせちゃんもそうだけど彼もまさか親の短期出張に付き合って海外に行ってるなんて……」 彼とは昨年起きた事件を追った特別捜査隊でリーダーとなった少年のことだ。 彼は非常に強いリーダーシップを持っており、こういう困ったときに頼りしたくなる人物だ。 彼女らは頼りになる二人の仲間とたやすく会えないことに運命の悪意さえ感じた。 それでも彼らと合流できるのが先になるのなら自分たちで探すしかないと3人はテレビの中を探し続ける。だが彼女らの苦労は報われることはなかった。 まさか3人の内誰も、名探偵である直斗も見たこともないファンタジーの世界に少年たちが行ってしまったなど思いもよらなかった。 「な、なあ、タバサ。まだ着かねえのか!?」 「もう少し」 現在、陽介とタバサの二人は馬上の人であった。 陽介は馬術を持ち合わせていないため、自分より一回り以上小さい以上小さいタバサにしがみついているというなんとも情けない様子である。 二人は今ガリアの地にいた。 ガリアとはこの魔法の世界ハルケギニアで最大の領土と国力を持つ国家である。陽介たちが呼び出された国はトリステインで、ガリアの北西に位置する。 二人はトリステインからガリアへ入り、ガリアの首都のリュティスに向かっている所である。 陽介はタバサにつれられトリステイン学院を出る際にタバサに言葉数少なくガリアという国に用事があるので馬を駆ってトリステインからその国に向かうと聞いた。 しかし陽介はそこに至るまで何日もかかるとは聞いていなかった。隣国とはいえトリステインの首都近くからガリアの首都への道のりは決して短い道のりではないのだ。 タバサは慣れたもので連日馬に乗ってこたえている様子はないが陽介はそうではなかった。 「もう限界!腰が!ケツが!」 「我慢して」 彼の主の返答は陽介の腰には冷酷ものだった。 ガリア王国の首都リュティスの東端にガリア王家の住まうヴェルサルテイルが存在する。 ヴェルサルテイルの中の小宮殿プチ・トロワがタバサの目的地であり、着くなり彼女はさっさと入っていった。使い魔には外で待つように言付けて。 「人間が使い魔ってのは体裁が悪いらしいし、それか?にしても外で待っとけはちょっと愛がねーんじゃないですかね?」 日は沈んでおり、肌寒い中陽介はごちた。 なんでもタバサはこの国の騎士で依頼を受けているらしい。 この世界の常識がない陽介は、学生でも仕事させられて大変なんだな。と。この世界の魔法使いにとって一般的なことなのだと考えた。 夜の冷えた風に打たれながらしばらく待っているうちにある衝動が彼を襲った。両足をすり合わせるようにもじもじさせる。 「やべえ、なんかモーレツにションベンしたくなっちまった。でもここ宮殿っぽいし、立ちションってわけにも行かねえよな」 突然の尿意に襲われた陽助はきょろきょろと回りを見渡した。 メイドを見つけたので駆け寄り、トイレの場所を尋ねる。彼女は指を差して道を教えてくれた。タバサが入っていった扉の前を素通りすればいいようだ。 「あんがとさん!」 陽介はその方向へ一目散に駆けていった。道を尋ねた少女は、あ、そっちは!と言ったが、トイレが近くあせっている彼の耳には届かなかった。 プチ・トロワの花園に一人の女性がいた。長く青い髪をしておりその青は彼女がガリア王家の血筋であることを証明している。 手入れされた髪、そして彼女が身にまとっている平民どころかなみの貴族なら手の届かぬほど高価なドレスは高貴さをかもし出すが、 今の彼女からは何よりも怒りやねたみなどといった負の感情があふれ出ていた。 彼女、イザベラの機嫌をくずしたのは彼女の従妹の態度であった。 生卵、泥の入った豚の腸を投げつけ、下着姿にしてしもべたちのさらし者にしたというのに表情の一つも変えなかった。 まるで自分のことなど眼中にないかのようにだ。 ガーゴイル 「あの人形、私をバカにしやがって……」 勝手と言えば勝手過ぎる怒りであった。イザベラも自身の身勝手さを感じないわけではない。 しかし自身の矮小さに気付きそうになると、その惨めな気分も従妹のせいだと思わずにいられないのだ。 眉間にしわを寄せ、庭園の花を愛でるというより射殺すような視線で見ているとき、彼女は視界に何者かが入りこんだのに気付いた。 「誰!ここは立ち入り禁止よ!」 「うわっ、え、っと、すいません、今すぐ出て行くんで!」 どうやら若い男のようだ。既に日は沈んでいるが庭園にある明かりで男の姿がぼんやりとだが見える。 黒い服を着た茶髪の少年のようだ。こそこそと去ろうとする姿を見てイザベラは意地悪く口を引きつらせた。 「待ちなさい。ここに来なさい」 陽介はトイレを探しさまよい歩いていると花が咲き乱れ、整えられた木々が並んでいる庭園に入った。 地球ではありえない二つの月光に照らされた庭園は言葉で言い表せないほど美しかった。 花というものに興味のない陽介も思わず見入っていると、突然どこからか大声で怒鳴りつけられた。 どうやらここは入ってはいけないところであったらしい。いそいそと元来た道に戻ろうとする。 しかし彼に警告した女性は何を思ったのか今度は逆に彼を呼びつけた。 陽介はよくわからないまま、言われたとおり彼女に近寄った。なにやらやんごとなき雰囲気の少女であった。 少なくともジュネスでは取り扱えない高級そうなドレスに身を包み、頭に冠をかぶっている。 美人といっていいが、つり目で陽介を射るように見ており、強気さが前面に出ている少女だった。 陽介はそのつり目とそして手入れの届いた長い青い髪と彼女の雰囲気に既視感を覚えた。 少女は陽介の違和感に構うことなくじっと見ながら話しかけてくる。陽介としては少し居心地が悪い。 「もしかしてあんた人形娘の使い魔じゃない?」 「人形娘?」 「人形みたいに感情のない娘よ」 もしかしてタバサのことであろうか?と陽介は思った。 人形とは決していい表現とは言えないが、感情を見せないこととこじんまりとして幼いながらも整った顔立ちは人形のようである。 「えーと、もしかしてタバサのことっスかね?」 なにやらエラそうな少女なので敬語を使っておく。 王族ならこんな砕けた敬語でいいものかと思わないでもないが、目の前の少女は気に留めなかったようだ。 「そう。あの人形にはぴったりな名前よね、タバサって。何あいつ本当にあんたみたいな平民呼び出したの!? 騎士だの言われてるけどあいつの実力もこれで底が知れてるってものね」 話の途中から少女は下品に笑い始める。 陽介はむっとした。ハルケギニアに呼び出されて数日しか経っておらず、無口な彼女のことはよくわからない。 それでも彼女は衣食住を用意してくれているのだ(衣は基本学ランだが下着や学ランの下の上着を借りている)。 そりゃ、ここ数日は馬に乗せ腰を痛めつけてくれたものだがそれが全て彼女の責任とは思わない。 少なくとも完二の主だというSッ気たっぷりの少女に比べてはるかにいい少女だ。 色気たっぷりのクマの主の方がいいが、彼女が子供なのはそれも時間が問題で彼女のせいではない。 「タバサはそこまで言われるほど悪くねーでしょ」 「あんたあいつの肩持つの?」 彼女は面白いものでも見るようににやにやと陽介を見た。陽介は少女の言葉を真っ向から受ける。 「俺はあいつの使い魔らしいですし」 そうは言っても陽介は使い魔が何をするものか理解していなかったが。 この数日過ごしてみてもそれらしいことをした記憶もない。もちろん完二のように身の回りの世話をさせられたいわけではないが。 「ふーん……」 少女は陽介を上から下まで品定めするように見てきた。 陽介は居心地が悪くなり話題をそらそうとして先ほどからひっかかっていたことを尋ねた。 「えーと、あなたってタバサのご家族なんすかね?」 そう先ほど感じた既視感は目の前の少女がタバサと似ていると思ったからだ。青い髪もそうだが目もだ。 眼鏡をしていて物静かなイメージと合わないので印象に残りづらいがタバサはつり目がちなのだ。 「どうしてそう思うんだい?」 「なんとなく似てるって思ったんですけど……」 陽介の返答を聞くと彼女は何がおかしいのか笑い始めた。 「私があいつと?」 「あ、いや、雰囲気っていうかなんというか……」 更に彼女の笑いは強くなりヒステリックとすら言っていいものになった。 「王女の私が没落したあいつと?こき使われるあいつと?無表情のあいつと?トライアングルのあいつと?」 ゲラゲラと笑う少女に陽介は不快感よりも恐ろしさを感じた。 それから彼女は顔を下に向けて、はーあと息をついた。顔を上げたとき、そこから歪んだ笑みは消えていた。 だが、つき物が落ちたような表情は一瞬のことで意地の悪い笑顔を浮かべる。 そして彼女は陽介にぐっと顔を近づけてその指で陽介の胸を指す。 「いいことを教えてあげようか、使い魔。あの人形は喋らないかも知れないが私の趣味はあんたのご主人さま、従妹をいたぶることなのさ」 陽介は言語化された悪意に戸惑う。目の前の少女はどうやらずいぶんとタバサのことを毛嫌いしているらしい。 自分の主とやらになったらしい少女のことを陽助はまだよく知らない。 しかしそれでも彼女の悪口を言われるのはいいものではなかった。その悪意は自分にも向いているのだからなおさらである。 「もしかしてタバサにコンプレックスを持ってるんじゃねえのか」 その言葉は反撃の意を込めたものだった。だが実際、陽介が感じ取ったことでもある。さきほどからの少女の言動にゆがみを感じずにはいられない。 陽介の反撃は予想以上の効果を挙げたようた。 彼女の顔から意地の悪い笑みが消えた。しかしかわりにもっと強烈な感情が表れた。 眉間に深いしわが現れ目は大きく開いて、双眸は陽介を、いや陽介の向こうの何かをじっと憎憎しげににらみつけているようだ。 あ、やべ……。 陽介はその憤怒を見て言いすぎたことを早くも後悔した。 「出て行きなさい……」 底の低い声だった。 「あっ、いや、はい!」 陽介は首をがくがくとさせてうなずいた。 彼女の地雷をこれ以上踏まないようにゆっくりと歩いていこうとするとき背中から声をかけられる。 「名前は?」 「え、花村陽介っスけど……」 彼女の意図が読めないことと、先ほどよりは落ち着いた声であったので彼は思わず正直に答えてしまった。 「イザベラ」 すぐには理解できなかったがどうやら彼女の名前らしい。呼んでいいものか? 「えーとじゃあ、イザベラさん?お元気で?」 そういってイザベラの表情を窺いながら庭園を去る。 陽介が去った後、そこに残るのは当然イザベラだけであった。 「あの使い魔……」 コンプレックスを持っている――その言葉はイザベラの胸に突き刺さった。 それは間違いなく事実であった。そしてイザベラ自身も自覚していた。 彼女とは比べられないほどの魔法の才を持つあの小さな従妹。 彼女以上に王位継承者に相応しいと家臣たちから思われているあのシャルロット。 そのことを考えると胸が悪くなる。 なのになぜ?と自分に問いかける。 なぜ自分はあれほど無礼な平民を返してしまったのだろう? なぜ名前を聞き、教えたりしたのだろう? 気まぐれだ。自分はあれが何かの暇つぶしになると考えた。それだけだ。イザベラはそう考えることにした。 「ハナムラ・ヨースケ……ふふ、変な名前」 イザベラは笑った。その笑みに不思議と悪意はなかった。 その変な名前の持ち主はというと、 「ダメだ、忘れてたけどモレそう!タバサ、トイレの場所教えてくれ!」 「我慢して」 「もっ、無理だって!」 尿意に苦しんでいた。 イザベラのこの夜の行動はきまぐれであった。 しかしその気まぐれは彼女の深い嫉妬を変えていくこととなる。 前ページ次ページゼロのペルソナ
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前ページ次ページTHE GUN OF ZERO 求める情報は、一度戻って仲間との協議の上で決めることを告げると、屋敷の中はあわただしく準備が始まった。 何しろ公爵夫人の毒が解毒されたのである。 これまでシャルロットを、母の狂気を治す薬で縛り付けていたガリア王室が、今度はシャルロットを亡き者にしようと動き出すのは目に見えていた。 公爵夫人と屋敷に働く人々は、このガリアの協力者の下に身を隠し、シャルロットはこれまで通りトリステインの学院にその身を置くこととなった。 マサキ達との連絡役が一人は必要で、やはりそれはこれまでもトリステインにいた者が最も適任だろうという考えからだ。無論、この時点でマサキはクォヴレーの状況変化など知るよしもない。 どうにか必要最低限の物をまとめようとする騒ぎの中、マサキは公爵夫人に耳打ちした。 「……気をつけた方が良いんじゃないか?絶対に一人か二人は、使用人の中にも息のかかった奴がいるぜ?」 「わかっています」 マサキ素の言葉遣いだが、それでも公爵夫人は真摯に受け止めていた。 「ですが、今ここでその事を言う訳にはいきません。その事を明らかにして、不要の軋轢を生むことをこそ、私は恐れます。そして何より、そのためにシャルロットを学院に居るままにするのです」 シャルロットを学院に置く真意に気づき、マサキは息を呑んだ。 「ゼノサキス様、親の身勝手であるとは理解しています。ですがどうか、シャルロットを守ってください……これ以上のお力添えを請うなど、厚かましい願いであるとは知っています。ですがどうか……」 親を思う子の愛は、やはり子を思う親の愛に匹敵する訳で。 再びマサキは折れた。 「……判った。けど、それだけだ。シャルロットにも言ったが、もし本格的にアンタ達が蜂起したら、もう俺は関知しない。いいな?」 魔装機神操者として、義理で出来るのは個人的な防衛だけだ。 理由がどうであれ、戦乱の発端となりうる事に手は貸さない。 簒奪者と呼ばれる者であろうと、一国を治めている王を手にかけるのに手を貸すのは、良くて看過するまでだ。 「はい。それだけで……それだけで十分です」 竜の羽衣 サイバスターと隣り合って置かれているR-1。 「さ、こっちこっち」 リュウセイに促されるままその胸に開いた穴におそるおそる入るシエスタ。 クォヴレーに薦められるままリュウセイに頼ってしまったが、本当に大丈夫だろうか?と今更ながらに不安になってくる。 「って、どこに座るの?」 「ん?俺の膝の上だけど」 みたことの無い服装で、 いざ往かん、我らの戦場へ 『ルイズ、ルイズ……この世界に危機が迫っている。さぁ唱えよ……』 数日前から見るようになった夢。それは徐々に明確さを増してきていた。 今ではその姿も徐々に見えるようになっている。長い髪の男だ、あれは。 昨晩泣き疲れて眠ってしまったルイズは、もはや見慣れたものとなった夢から覚めてからもしばらくベッドの上で動かないままだった。 「……クォヴレー」 呼んでみたところで、飛んで行ってしまった彼が来るはずもない。 「何よ……何よ……!死ぬまで一緒にいるとか言ってたくせに!たった……たったこれだけのことで居なくなるなんて……!」 再び涙がこみ上げてきてルイズの頬をぬらす。 しばらくそうしてぐずっていたが、元より昨日はそうして泣き疲れるほどに泣いたのだ。すぐに気持ちも落ち着いた。 そして落ち着いてみると、何だか屋敷の中が騒がしいのに気が付いた。 気にはなったがとりあえず着替えるため誰か小間使いを呼ぼうと鈴を鳴らすが、誰も来ない。 「もう、何やってるのよ!」 イライラとしながら部屋の戸を開けたところで、ルイズの動きが止まった。 「わ、ワルド子爵……?」 「ああ、ルイズ!僕のルイズ!このタイミングで会えるとは思っていなかったよ!」 まさにルイズが戸を開けた時、ワルドと父がそこを歩いていた。 「な、何故こんな所に、というかすみません!お見苦しい格好で……っ!?」 ネグリジェ姿だったのを思い出し、あわてたルイズにワルドが抱きついた。 「わわわわわわワルドぉっ!?」 いくら婚約者とはいえ、祝言そのものは行っていない仲で、当然の如く公爵も些か気分を害したような表情をしている。 このままではワルドのためにも良くないと、必死に訴えかける。 「あ、あの、離して!こんな格好じゃあ……」 「……ああ、済まない。出征前に君に会えたものだから、少々気が高ぶって居るようだ」 ルイズを離しつつ、顔を押さえるワルド。 「出征……?」 「戦争だよ。ガリア王国が、宣戦を布告してきたんだ。ここへは、君のお父上を閣議にお連れするために来たのでね」 本来ならばワルドクラスの人物が行う任務ではなかったが、領地に帰っていたワルドが登城するに当たって公爵も連れて行くこととなっていた。それだけ、他のヒポグリフ、マンティコア、グリフォンを操る騎士達を動員する余裕が無いとも言える。 「子爵」 「は、済みません」 公爵の咎めの声に、改めて謝意を示す。だが、もう少しだけ話させて欲しいといったジェスチャーをすると、やれやれと言わんばかりに公爵はため息をつくだけにとどめた。 「ルイズ、この戦争が終わったら、その時には僕が迎えに来るよ。だから、待っていてくれ」 「え……?ワルド?」 「いいね?……参りましょう」 驚いた顔のルイズを残し、ワルドと公爵はその場を通り過ぎていった。 「昨日の夜、機動兵器の襲撃を受けた。それも、ガリア王室の利になるようなタイミングでだ」 「!それはつまり」 「どこまで繋がりがあるのかはわからねぇが、お前の言うユーゼスって奴とガリアは何か関係があるのかも知れねぇ」 「手分けした甲斐があったか……!」 だがその関係のあるというガリアが戦争を仕掛けたこのタイミング、本当に間に合ったか? 「ランドール、私の声もクォヴレーに届いている?」 マサキの膝の上に座っているシャルロットが尋ねた。 「あ?ああ。聞こえてるはずだぜ」 「クォヴレー、あなたやランドールの言っている敵は、四つの目が描かれた仮面を付けた男?」 「!どこで見た!?それを!」 「ガリア王宮内。ガリア王の召喚した使い魔で、王を傀儡として、現在実質全ての権力を握っている男」 「全ての権力……!?まさかこの戦争は!」 「今のガリアが侵攻をするというのなら、間違いなくその男の意志」 ガンとコクピットハッチの縁を手で叩く。 「拙い、先手を取られた!リュウセイ、すぐにでるぞ!」 「お、おう!」 「マサキ、敵の艦隊を叩く。直接戦場で合流する!」 「わかった!こっちも急ぐぜ!」 R-1のコクピットから飛び降りつつ、唱える。 「テトラクテュス・グラマトン!」 ディス・アストラナガンを呼び込んで飛び乗り、翼を展開して大空へと飛び立つ。続けてR-1も上昇し、R-WINGに変形して後を追う。 南へ向かう中で、レーダーに機影がかかる。 「見えた。いや、違う!?」 そちらにカメラを向けるが、映し出されるのは帆船に翼の生えたハルケギニアのフネだ。 「クォヴレー、どうなってんだ?ありゃあ、この世界の飛空挺じゃねぇのか?」 「ああ……その筈だ」 「どうした?ってこりゃあ……」 サイバスターも合流し、そこに見える艦隊に首をひねる。 「ガリア両用艦隊……」 「違う。これではない……俺の早合点だったのか?」 シャルロットの言葉に焦ったようにコンソールを操作し、レーダーのレンジを変える。 「こちらか!?」 ここより北東の方角に、レーダーに映る影がある。木製のガリア艦隊よりも遙かに強力に反応している上に、進行速度が比べものにならないほど速い。 「リュウセイ、マサキ、位置情報を転送する。奴の主力はこちらだ!」 トリステイン王宮。閣議の席上、各方面から続々と情報が寄せられていた。 「報告を」 マザリーニの言葉に偵察に出ていたマンティコア隊の隊長ド・ゼッサールが進み出る。 「はっ!現在ガリア両用艦隊は、南方より我が領内に進入。歩兵の進行速度に合わせて進行中です」 「数は?」 「兵力数は、2万を超えると思われます」 重苦しい空気が議場を埋め尽くす。先程確認されたトリステインの動員出来る兵力は、2千のみだ。 「ほ、報告しますっ!」 そこへヒポグリフ隊の隊員数名が駆け入ってきた。 「ゲルマニアへ向かったガリア艦隊は、全長が500メイルを超える超大型艦14隻による艦隊です!」 「な……」 一瞬沈黙した会議の席上は、すぐさま沸騰する。 「全長500メイル以上だと!?そんな巨艦があるものか!」 「いえ、確かに、この目で……!あれは500メイルどころか、下手をすれば800メイルはあるかと!」 「馬鹿な!」 「あり得ぬ!諸君等でたらめを述べているのでは……」 「お待ちなさい!」 紛糾した会議の席上はアンリエッタの発した声で静まりかえる。 「……800メイルはある巨艦と申しましたね?」 「は、は!確かに!」 「それは、黒い船体で船尾が緑色をしていましたか?」 「いかにも!なぜご存じで!?」 「……言ったとおりだわ……」 二日前に会見を行った銀髪の少年を思い浮かべる。 「殿下、ガリアの巨大艦隊をご存じなのですか?」 大臣の一人が驚きの声を上げる。 「ルイズの使い魔の、クォヴレー・ゴードンが言っていました。ここハルケギニアに、本来あるべきではない戦力が潜んでいる、と。 それは、あのアルビオンで王党派とレコン・キスタを壊滅させたゴーレムを操る者の手駒だそうです」 娘の名前が出たことで、ヴァリエール公爵は一層目尻をきつくつり上げた。 「あのゴーレムの!?」 皆噂は聞いている。その圧倒的なまでの力も。 「ヴァリエール公、すぐに彼にこのことを知らせて下さい。きっと力となってくれるはずです」 おお!と議場が盛り上がる。同じように巨大なゴーレムを有している者が味方にいるのならばと、公爵へと議場の大半が期待の視線を向ける。 だが、眉間にしわを寄せて唸るように公爵は口から声を発する。 「……彼には、昨日の時点で娘の使い魔を止めてもらいました……今現在その行方は知れません」 一瞬その場の全ての者が息を飲み、ヴァリエール公爵へ批難を集中させた。 半ば誹謗中傷とも取れる発言を一身に受けながら、それでも一切反論はせず、公爵は鶏の骨へと睨むでもなく、ただ、視線を向けた。 顔面蒼白となったマザリーニは、議場のテーブルを見つめたままわなわなと唇を震わせていた。 クォヴレーのディス・アストラナガンについて、公にやんわりと政治的圧力をかけたのは間違いなく宰相である彼だった。だが、それは何も戦力の放逐を企図したところではない。 彼はその戦力を、王家の物にしようと考えただけである。『使い魔』であるクォヴレーを『献上』させるのでも良い。その主であるルイズを王宮へ任官させるようにし向けるのでも良い。 ともかく、クォヴレーを自身の影響下へ置きたかったマザリーニなのだが、ここで思惑が交錯する。 公爵にも、ある程度その思惑は判っていた。だが、実際のディス・アストラナガンの戦闘を目の当たりにした公は、王宮への過度の戦力供給は戦乱の時代を呼び込む物と考え、 さらに実際にクォヴレーの人となりを知ると、その力を野放しにしても自身達へ危害は加えまいと判断して第三の手段を取ったのである。 その判断自体は、本来ならばいつでもルイズの元を去ることが出来た彼が大人しくしていたことからも過ちではなかったと思えるが、よもやこんな事態が急転直下で発生するとは考えていなかったのだ。 {こんなはずではなかった} 二人の、正直な気持ちである。 「……我々の退路には、絶望しか有りません。このままガリア軍と対しそのまま突き進むことで、はじめて希望が生まれます! ゲルマニアへ派遣された艦隊がトリステインへ充てられるよりも先に、敵艦隊を殲滅しガリアへ突入します!」 大艦隊の派遣に、トリステインとゲルマニアが右往左往している頃。 メギロートの大群が、ロマリアを襲撃していた。 「げ、猊下をお守りしろ!」 魔法は通用するらしいモノの、それだけでは太刀打ちの出来ない巨体、量、そしてサークルレーザーの破壊力に、じわりじわりと戦線は押されていく。 「ダメです、支えきれません!このままでは……!」 「く……」 一人、エイジス32世は臍をかんだ。 返す返すも、ガリアの手のモノに『香炉』を奪われたことが悔やまれる。 (こう言うときにこそ、新たなる『虚無』の力が必要なのであろうに……!) 「猊下、お逃げください!我々で血路を開きます故……!」 退避を促す騎士の言葉に被さるようにして轟音が響き、彼らの居る部屋に巨大な虫の頭が覗いていた。 「く、もうこんな所にまで!」 「……何故だ?何故奴が現れない?残る手の内は、奴自身のジュデッカだけだというのに」 14隻のフーレを始めとした、ネビーイームの主力部隊。 それらを壊滅させ、戦闘の余波から荒野となったゲルマニアの地で、クォヴレーは困惑の声を出す。 「この艦隊ってのは、ユーゼスの主戦力なんだよな?」 リペアキットでR-1を応急修理しつつリュウセイが呟く。 「にも関わらずその主戦力をここで使い潰したって事は……」 「こちらは囮。本命は、ガリア艦隊」 サイバスター内部で推測が立てられる。 「……踊らされていたのか、俺は?」 「言ってる場合じゃねぇ。すぐにトリステインに戻るぜ!」 愕然とするクォヴレーに、マサキが叱咤した。 だがその行動は、既にして遅れていた。 絶望の宴は今から始まる 彼は、ガリアの竜騎士だった。 そこを統べる王が無能と呼ばれても、そこにいる自分は誇り高い騎士なのだと、そういう自負があった。 王が傀儡と化しているらしい、という噂を聞いたとき、意に染まぬ汚れ役をさせられるかも知れないという予感はあった。それでも、騎士である自分の本分は果たすつもりだった。 しかし、予感通り一方的な侵攻にも似た戦争が始まったとき、彼に課せられた任務は敵方の村を虐殺することでも、歩兵を撃退することでもなく、 ましてや一対一の空中戦であるはずはなく、北花壇騎士だという数名の人員を送る、というものだった。 (俺は……俺は荷物運びではない!) 何故に自分が、他人の足代わりに、それも日陰者の北花壇騎士の連中を! “そろいも揃って同じ仮面をつけた”連中を送らねばならないのか! 自分達は、馬代わりか!? 「目標空域ラ・ヴァリエール家領上空に到達」 そんな客の一人……どうもこの5人の客の中でリーダー格らしい男――いや、少年かも知れない――が声を上げると、左右に着いている僚騎に分散して乗っている仲間へ杖の先を照らし合図を送る。 「回収の必要は無し。以後、竜騎士隊はトリステイン攻略に当たられたし」 「!……了解」 言われるまでもない。こいつらを乗せるのなど二度とゴメンだ。どいつもこいつも似たような声をして、気味が悪くて仕方ない。 ひょっとして、その頭全体を覆う兜の下も、皆同じ顔なのではないか? 大地へ落ちていく五つの姿を見送った後、彼は僚騎と共に西南西へと進路をとった。 「ルイズ」 「何よ……」 「このままここにいては危険だ。理由は不明だが、奴はルイズを狙っている。再度の襲撃が無いとも……」 「使い魔を辞めて、居なくなったのはアンタでしょう!?アンタ何様のつもりなのよ!」 涙混じりのルイズの言葉に、クォヴレーは口をつぐむ。 「平気でいなくなって、一番にて欲しい時に居てくれなくて!無事で良かった?ええ、アンタはそれでいいでしょうね!ユーゼスって奴が狙っていた私が、連れ去られずに済んだんだから! アンタにとって良かったのは私の無事じゃないわ!ユーゼスの目的を邪魔出来た事よ!でも母様や姉様達を殺された私はどうなるの!? ……ようやくわかったわ。アンタは始めから私の事なんて見てなかったのよ!元々自分の敵を倒すためにハルケギニアにやってきて、私と居るのはついでに過ぎなかった!」 次々と責める言葉を吐きながら、ルイズはこの一月の間クォヴレーの言葉を思い起こす。 『聞かれなかったからな』 この一言でクォヴレーはディス・アストラナガンの事を自発的に話そうとはしなかった。 『判った。ルイズが不安になるのなら、今後誰かから物を貰うのは控えるとしよう』 貰わないのは自分に命令されたから。自分の気持ちを察そうとはしてくれなかった。 『ルイズは俺の主人だからな。俺は応えられる範囲でその命令に従うだけだ』 ただ単に、命令を実行するだけの応対。 「そんなことは……」 「あるわよ!いっつもはいはい人の言うこと聞くばっかりで、アンタから私に何かしてくれたことが一度でもあった!? ミスタ・ゼノサキスを助けるためにアンリエッタ様に掛けあって、リュウセイのために厨房に口添えをして!あんな風に自発的に私にアンタが何かしてくれたことが一度でもあった!?馬鹿にしないで! アンタにとって、私があの二人よりも優先順位で劣ってることぐらいとっくに気づいてたわ!」 二日前の夜。自らの与えた自由時間を削ってまでリュウセイの頼みに応じ、誘いに残りの時間も宛てた。ウェールズを連れてきた夜ですら、それでも自分の時間を主張したこの男がだ。 悔しかった。 だから自分にも何か買ってくるように命じたら、その通りに見たこともない『あいす』というとてもおいしいお菓子を買ってきた。でもそれも、所詮は自分の命じたことに過ぎなかった。主人の命に使い魔が従っただけなのだ。 「父様に言われただけで、私の気持ちなんか無視してあっさり居なくなって!そんなアンタが、今度は自分の敵に狙われて居るようだからここを離れろ?巫山戯ないで!私はアンタの戦いのための道具じゃない!」 「巫山戯てるのはお前の方だろうが!」 「あぅっ!?」 いつの間にか近づいてきていたマサキの平手打ちがルイズを撃った。 「マサキ!何を!?」 「道具じゃない?使い魔を、道具みたいに扱ってるお前が言う台詞か!お前がクォヴレーを利用することしか考えてないなら、クォヴレーだってそれなりの対応しかしないのは当たり前だろうが!」 シロが、クロが、シルフィードがマサキをじっと見つめる。 「お、お父様にも撲たれたこと無いのに……!」 「殴られるような事をしたのはどこのどいつだ! まともな寝床も与えないで、厨房で賄いを貰わなければパン二きれに薄いスープ一皿だけを、床の上で食べさせる?聞いてぞっとしたぜ。この世界でも使い魔は奴隷じゃねぇ!シャルロット達を見てたらそれが判った!なのにお前は何だ!?」 「使い魔で!は、配下の平民をどう扱おうと勝手でしょう!?クォヴレーは何も言わなかったわ!」 「こいつっ……!」 「!」 再び腕を振り上げるマサキとぎゅっと目を瞑るルイズ。 「マサキ、止めろ」 その振り上げた腕をクォヴレーの手が掴んでいた。 「クォヴレー!お前がそんなんだから、こいつも!」 「確かに、俺の接し方にも問題があった。だから、止めてくれ」 「……!ちっ……」 まだ何か言いたげながら、マサキは素直に腕を下ろした。 「何よ、何よ、アンタ達なんか……!」 「ルイズ」 しゃがみ込み、ルイズと同じ視線にまで降りてからクォヴレーは呼んだ。 「何様だ、と先程聞いたな。だから、俺は今度こそクォヴレー・ゴードンとしてお前に向き合う。その問いに答える」 未だに涙を浮かべた目のまま、睨み付けてくるルイズに、ゆっくりと語りかける。 「俺の名はクォヴレー・ゴードン。時を越え、数多の世界を彷徨うタイムダイバーだ」 時を越える、ああ、確か言っていなかったか?自身は見た目通りの年齢ではないと。 数多の世界を彷徨う、ああ、言っていなかったか?ディス・アストラナガンは世界を越える乗り物だと。 口にするその度に、この男は『ルイズには関係のない事だったな』と笑い、自分が信じずとも大して気にもかけていなかった。 だが、それらは全て、自分に提示されていた事象だった。そして自分は、それを戯言だと決めつけ、一蹴し、検討すらしなかった。 「今この世界を、悪意が席巻しようとしている。そしてルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール、その悪意がお前を狙っている。理由は不明だが、奴の企みを阻止するためにも身柄の安全を図りたい。 ……先程言っていたとおり、これはそちらを利用するも同然の行為だ。だがどうか、協力して欲しい」 頭を下げる彼が口にしていた、それらのこと全てが事実だとするのならば、信じなかった自分は、何なのだ……? 『ゼロ』と呼ばれていた自分を信じてくれた彼は? (『ゼロ』……?) 自身の二つ名を思い出すと共に、一月前の出来事がルイズに思い出された。 『そのままの意味だ。お前の二つ名を聞いて、俺は強そうだと思った。俺が見てきた「ゼロ」と呼ばれるモノは皆強かったからな』 その言葉の前、クォヴレーは、自分を励ましてくれていなかったか? 『その……普段、お前は「ゼロのルイズ」とバカにされているだろう……ここで授業まで休んでしまうのは、あまり良いことではないと思う』 アルビオンへ飛んだ夜。何故自分の言いつけを無視してまでこの男は悪魔王を呼び出した? 自分の、為ではないか。『ゼロ』と呼ばれていた自分の! すっかり失念していた。だが、クォヴレーは、ちゃんと、自分のためを思っていてくれたのだ。なのに自分は……。 「……ルイズ?」 黙りこくってしまった旧主に、とまどいの声を投げかけるクォヴレー。 「……協力に、応じるわ」 涙を袖でぬぐいながらルイズは応じた。 「ありがとう」 「……あくまでも、協力よ。だからその代わり……」 ようやく、正面から目を合わせる。 「お願い。母様達の敵を討って……」 「わかった。必ずだ」 「フフフ……遅かったな?あの男の後継者」 「ユーゼス・ゴッツォ……」 「ユーゼス……あんたが、母様を、姉様達を!」 沈んでいたルイズの眼に、憎悪の炎が灯る。 「よくも今まで邪魔をしてくれたものだ」 「黒いジュデッカ……やはりアルビオンで王党派とレコン・キスタを壊滅させたのは……」 「いかにも、この私だ」 「何故そうする必要があった!?」 「レコン・キスタの背後には、ガリア王があった。あのままレコン・キスタが敗北し、首謀者のオリヴァー・クロムウェルからその事が明るみに出れば、他国からの要らぬ詮索を受けることになったやも知れん。大事の前故、それは避けたかった」 「そのガリア王を傀儡にしてるのはお前だろう!シャルロットから話は聞いてるぜ!」 「傀儡、か。その言葉自体は正しいが、お前達が真意を掴んでいるとは思えんな」 「どういうこった!?」 「今ガリア王の座に座っている男は、ジョゼフではない。私が作り上げたギメル・バルシェムを整形している偽物だ」 「偽物!?」 「……キャリコか。判らんな。そうまでして実権を握り、何故わざわざレコン・キスタの蜂起など行った」 「別に私としては、何ら意図があった訳ではない。レコン・キスタの反乱、その背後にいるガリア王。これらは全て、ハルケギニアが本来辿るはずだった歴史の筋道に沿っているにすぎん。 私は元より、こんな大陸一つにも満たない部分の覇権などどうでもいいのだ。だが、ある程度は『本来の歴史』に沿って因果律を調整していかねば、私にとって不測の事態が起きかねない。 異物を取り込んだ世界では、私が知っているこの世界本来の歴史とは大きく外れる可能性があったからな」 ユーゼスのクロスゲート・パラダイム・システムが不完全であるのは、これから先の事象が判らないことも大きな原因の一つである。そのためにユーゼスが知っているハルケギニア本来の歴史から大きく逸脱する状況は避けねばならなかった。 そうなってしまえば、今後起きる物事を予測するのが非常に困難となってしまうからだ。今後起きることが判らなくなれば、因果律の操作もおぼつかなくなる。それを補うためにも未来予知が可能なラプラスデモンタイプ・コンピュータを欲していたのだが。 「だが、その本来通りの歴史の流れを阻害したのが、貴様だ。クォヴレー・ゴードン」 ジュデッカの腕のうち一本がディス・アストラナガンを指さす。 「ニューカッスルでワルド子爵により殺害されるはずだったウェールズ・テューダー、レコン・キスタによって壊滅するはずだった王党派。これらが生き延びたことで因果の流れは大きく乱れ、私自らが動かねばならなかった」 「ワルド様が!?」 「よもや因果律の番人である貴様が、自ら因果律を乱すとはな」 「例えハルケギニアでは、それが正常な歴史の流れなのだとしても、霊達の循環を堰き止めるかのような行為は見逃す訳にはいかない。明らかにそちらの方が異常な状態なのだからな」 「成る程……この程度では動じんか。確かにそれが貴様の立場としては選ぶ道だろう」 低く、くぐもった笑いを漏らすが、すぐに笑いは止んだ。 「……全くもって鬱陶しい。 私としては、リュウセイ・ダテの身柄とサイバスターのラプラス・デモンタイプ・コンピュータさえあればそれで良かった。本来通りの歴史の中で、私がこの二つをかすめ取れば済む話だ。 だからこそ、この時代の変革に置いて中心となるルイズ・フランソワーズの身辺にはあえて何ら因果律の修正を加えず、本来通り平賀才人が呼ばれるままにし、影響を最小限に抑えようとしていた」 「ヒラガ・サイト……?」 ちくちくと、ルイズの頭の裡を刺激する音だ。 「……だが、呼び出されたのは因果律から外れているが故に全く行動の読めない、操作出来ない貴様だった」 「そうか、ではタバサが俺を監視していたのも」 「そう、それも私だ。 貴様の動向は全く読めない。故に、少しでも情報が欲しかった。まぁ、先のアルビオンの件など、報告が圧倒的に遅れたこともあった故、効果は薄かったがな」 「自業自得だ、ユーゼス。例えここが次元の狭間に作られた箱庭の世界だろうと、ここが世界である以上、世界は修正力を求める。貴様に好きにさせまいとこの世界が俺を呼び込んだ」 「ククク……本気で、そう思っているのか?」 再び笑いが響く。 「何だと?」 「私は、私が呼び出された因果律の糸をたどった事がある。その因果の根は、二カ所から発していた。 一つは、ルイズ・フランソワーズが使い魔召還を行った瞬間。そしてもう一つは、貴様がディス・レヴを回した瞬間だ。……最も、こちらについてはつい先日判ったことなのだがな」 「何……?どういう、意味だ……」 「言ったはずだ。誰よりも貴様こそが、この世界の因果律を乱したのだと。 貴様が呼び出された時点で、レコン・キスタはディス・レヴの輪廻調整機能により破綻することが決定づけられた。 しかしそれでは、本来の世界の運行に大きな支障を来す。本来ならば、ガンダールヴのルーンを持つ者を中心として、ハルケギニア全土を覆う戦火へと発展するはずだったのだ。故に世界は貴様のカウンターとなる存在を必要とした。 だがそのような存在は多くはない。仮にシュウ・シラカワが呼ばれたとしても、この世界に置いて戦乱を呼び込む火種にはならなるまい。 ギリアム・イェーガーでは尚のこと、この世界にとけ込もうとすれど貴様と積極的に関わろうとはしないだろう。 イングラム・プリスケンや、ヴィレッタ・プリスケン、または奴らを受け継ぐタイムダイバー達は論外だ。お前に協力するだろうからな。 ……そして、目を付けられたのが、半ば因果地平の向こうに打ち棄てられていた私だ。 私は、全くもって無意識的に、ただ自身のためにこの世界を箱庭の裡とした。だが結果、世界に与える影響は微々たるモノに抑えられる事となった。本来の時間軸に与える影響など無きに等しい」 「バカな……それでは……」 「そうだ。私が呼ばれたために貴様もこの世界へ来た?違うな。全ての元凶は貴様だ。嘘だと思うのなら私の因果曲線を辿ってみるが良い。自身の起こした行動へと帰結していることが判るだろうよ」 「……!まさか……俺は、俺のイングラムの因子が……!」 苦虫を噛み潰したような表情でクォヴレーは呻く。 「……が、私自身がその事に気づくまでにかなりの時間がかかってしまった。わざわざ呼び出した、リュウセイ・ダテ、マサキ・アンドーを捕らえられないどころか、それが敵対することになるとは」 「残念だったな、アンタの思い通りにならなくってよ!」 へん、とリュウセイが笑い飛ばす。 「全くだ。おかげで保険としていた計画の方を主軸に事を進めねばならなくなった」 「保険だと?」 「そう。サイコドライバーの代わりとなる、『虚無』の力を得るための計画をな」 「『虚無』?なんだそりゃあ?」 初めて聞いた単語にマサキが首をかしげ、シャルロットが解説を入れる。 「始祖ブリミルの使ったとされる伝説の系統。今では全くその正体は掴めていない」 「伝説などではない。その力は現存する。ここに我々が居ること自体が、その証明でもある」 「俺たちがここにいること?」 「いかにも。古の書に寄れば、虚無の系統は世界全ての物質を構成するとても小さな粒に影響を与える、とある。 では、その小さな粒とは何か?分子か?原子か?陽子、或いは電子か? いずれも違う。答えは、因子だ」 「つまり……どういうこった?」 「……限定的にだが、世界を操れると言うのか?」 「虚無の力の特長は、因果律を操り、次元を越える力を持つこと。そう、時として我々のように、世界を越えて人や物を呼び込むことが出来る」 「待て、それはつまり」 「そう。 マサキ・アンドーを呼び込んだロマリア教皇エイジス32世、リュウセイ・ダテを呼び込んだティファニア・モード、この私を呼び込んだガリア王ジョゼフ、そしてクォヴレー・ゴードンを呼び込んだルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール! この者達は皆、虚無の系統の使い手だ」 「虚無の力を得ようとしていると言ったな。では、先程ルイズを狙ったのも」 「因果律に影響を受けない貴様の動向を決めるのは一苦労だった……が、ラ・ヴァリエール公爵の行動ならば今の私でも十分に操れる。 実際に戦闘を行い、貴様の力の一部を直に見せることで危機感を煽り、末娘の使い魔に使い魔を辞めるよう迫る……とな」 昨日の昼、自身に有った襲撃。その意図は、ここにあったか。他の二人への攻撃は、その真意をくらますためのモノ……。 「そしてゲルマニアへ向かうフーレ艦隊、必ずや貴様は察知してくれると信じていたぞ?」 「……俺はまんまとそれに乗り、ルイズの守りを手薄にしてしまったという訳か」 悔しげに呟くクォヴレーに楽しそうにユーゼスは嗤う。 「フフフ……自分と戦った気分はどうだ?」 「……バルシェムをメイジ化させたというのは判る。だが、先程のあの光は何だ?あれ程強力な系統魔法、この一月の間に見たことも聞いたこともない」 「貴様はまるでメイジの重要性に気づいていないようだな。この世界には、二人のメイジが協力してより強力な魔法を起こすことが出来るシステムが存在している。 使い手の息の合い方など制約は多いが、もし、数十名単位で完全同調出来るメイジが居るのならば、どうなる?」 「……そのための、バルシェムのメイジ化か」 クローンであり、個体差の少ない量産型メイジ。僅かな訓練でもタイミングを合わせるのは容易いだろう。 「3日前にようやく同調のめどがたったばかりだったがな。海面を凍結させるほどの瞬間的な大寒波を引き起こした」 「3日前……?そうか、一昨日やけに肌寒かったのは」 「バルシェム達の作り上げた流氷によってハルケギニア近辺の熱が軒並み奪われたのだ……もっとも、そのバルシェム達もルイズ・フランソワーズの身柄の確保には失敗したがな」 「待て!俺たちを呼んだのが虚無の系統の使い手って事は……お前まさかティファも!?」 「フフフ……今更何を言っている?貴様等があの村から離れた5分後には、すでにあの娘は私の手の内だ」 「く……くそぉっ!やっぱりあの時契約してりゃ……!ユーゼス!ティファは生きてるんだろうな!?」 「無論だ。先程言ったとおり、あの娘の力はサイコドライバーの代用品として私の求めている物。簡単に死んでしまっては困る……だが、あれを果たして生きていると呼べるのかどうかは、それぞれの感性次第というところかな?フハハハハハハハ……」 「てめえ!ティファに何をした!?」 「フフフ……教えて欲しいかね」 「聞くな、リュウセイ」 スッとディス・アストラナガンが手で制する。 「けどよ!あいつ、絶対……!」 「お前の怒りを煽っているだけだ。怒りを忘れろとは言わん。だが冷静になれ。それでは助けられるものも助けられなくなる」 「出来るかぁ!そんな器用なこと!」 R-1が右手に念動フィールドを集束させながらジュデッカに殴りかかる。 「リュウセイ!冷静になれと言っている!クッ、マサキ援護に入るぞ!」 「おう、いけ!ハイ・ファミリア!」 「ガン・スレイヴ、俺の敵を破砕しろ!」 更にR-1を追い抜く形で計八機の機動砲台が黒い十字架に迫り 「フフフ……第一の地獄、カイーナ」 「があああああああ!?」 凄まじい瞬発力で砲台の包囲をくぐり抜け、格闘戦を挑んできたR-1の腹部に逆にカウンターで拳を撃ち込んできた。 落下の途中、かろうじて体勢を立て直すR-1。 「お、俺が、踏み込みのスピードで負けた……!」 「何だあのスピードは!?」 「ま、全く見えにゃかったぜ!」 「フフフ……虚無の力、因果すら律すると言ったぞ?今のは『加速』。文字通りだ」 「く、この世界の魔法、ここまでの力があるというのか?」 正直、見くびりすぎていた。 「私も保険と思っていたが、目的のために最適化されている分、戦闘時に置いては存外、こちらの方が本命であったぞ?そして、こういうことも出来る」 ジュデッカの姿がぶれ始め、クォヴレー達の目の前で何体もの何体ものジュデッカが現れた。 それぞれは薄く、まるきり投射映像のような姿だが、数が多すぎる。本物が紛れ込んでいるが、常に動き回っているために見た目では見つけきれない。 「『幻影』。見ての通りだ」 「なんだそんなもん!ミノフスキー粒子もねぇんだ!レーダーつかやぁ……!なに!?」 「風の遍在とも違う。因果律を操作しての確率分散による幻影、そう簡単に見分けられるものではないぞ……?」 「ふっざけんな!サイフラァァァァッシュ!」 サイバスターを中心とし、光が広がって幻影を吹き飛ばす。 「ハハハハ!それが正解だ!やはりサイバスターを相手にこれは使えんか」 「人をおちょくりやがって!」 「では、本気でかかるとしようか」 再び『加速』で一際三機から離れたところへ移動し、ジュデッカの四本の腕が動き始める。 「時空の彼方へ消え去れ!最終地獄、ジュデッカ!」 「上昇しろ!急げ!」 クォヴレーの呼びかけに、サイバスターとR-1が変形して急上昇する。 それと入れ違いになるように、ジュデッカより放たれた光弾が地表に激突。トリステインの大地をクレーターに変えていた。 「あ、ああ……!?」 「なんてぇ力だよ、ばけもんめ!」 「くそ……このままじゃ被害が広がるばっかりだ!」 戦慄する他の面々だが、 (どういうつもりだ……ここにきて、何故時間稼ぎをする) 一人、思考を始めるクォヴレー。今の攻撃、全く当てる気がなかった。 ……仕掛けてみるか。 「ゲマトリア修正」 ディス・アストラナガンの両肩に銃身が展開する。 「!」 「メス・アッシャー、マキシマム・シュート!」 「クォヴレー!?どこ撃ってんだお前は!?」 全くの見当違いに向かって放たれたアキシオンの破壊の流れは、その射線に自ら割り込んだジュデッカによって、遮られた。 「う、ぐ!」 「何だあいつ!?」 「自分からダメージを受けに行った?」 しめた、フィールドを展開したが、ジュデッカの体半分は吹き飛んでいる。自己修復を開始しているようだが……! 「テトラクテュス・グラマトン! ディス・レヴ、オーバードライブ!」 ディス・アストラナガンの胸部が開かれ、闇色の光が集束する。 「この、光……」 かつて見た夢。うっすらとルイズは思い出す。そして再び、聞こえ始める声。 『……よ、……ス・グラ……』 髪の毛の蒼く染まったクォヴレーが指示を出す。 「マサキ、リュウセイ、俺が奴の動きを止める。そこに一撃を打ち込め!」 「お、おう!念動集中……!」 「判った!サイバスタァァァァァァ!」 「回れ、インフィニティ・シリンダー! ユーゼス・ゴッツォ、時の流れを垣間見ろ! この無限光の中で!」 打ち出された光が展開し、魔法陣がジュデッカを捉える。 「ぐぅおおおお!?クロスゲート・パラダイム・システムで……!」 周囲を飛び回る十個の中性子星。それがユーゼス側からの因果律による反撃を受けて、止まりそうになる。 「今だ二人とも!奴は今俺の攻撃を防ぐので手一杯だ!」 「いっけぇぇぇぇぇ!」 「フィールド集束ぅ……!」 サイバスターがアカシック・バスターの魔法陣を展開し、念動フィールドを再度右腕に集束させたR-1が変形したサイバードに跨る。 「アァァァァカシック!」 「ブレイカァァァァァ!」 アカシック・レコードに直接干渉する攻撃を、サイコドライバーの素養を持つ男が一緒になって行った。 爆光のなか、ジュデッカが崩壊していく。 「……フハハハハハハハ、見事だ。だがこれで私の計画が潰えた訳ではない。フハハハハハハハ!」 「何!?」 「負け惜しみを!」 「いや……おそらくは事実だ!」 苦々しげな表情で、爆発を繰り返すジュデッカから地平線の向こうにあるガリアへと、クォヴレーは視線を移す。 3機の通信ウィンドウには、過度のダメージで本性を現したジュデッカコクピット内のスキルニルが映し出されていた。 前ページ次ページTHE GUN OF ZERO
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ブルガリアンリズム(EX) [カテゴリ]ジャンル(タイプ) 曲名 アーティスト 担当キャラ bpm Time Notes [14]ブルガリアンリズム(EX) Deep Magenta Naya~n Nikolaschka 204 1 44 1287 コメントページへ 属性 同時押し(三角押し)、体力、縦連打 譜面 ブルガリアンリズム(EX) 動画 http //jp.youtube.com/watch?v=kNZeQYOa9V4 手元+画面 解説 基本同時押し譜面。数回フロウビート最発狂のようなごちゃっとした譜面が来る。 三角押しが頻発するので注意 BPMが若干速いので、実際は譜面で見るより厳しい。縦連打中心なので体力を使う。初見の時は特に注意。 休めるところがほとんど無いので体力必須。 ちょくちょくコンボを切るようだと、ゲージがずっと真っ黒ということになりがち。 両手交互の同時押しや左黄軸の部分などの簡単なパートは、絶対に落とさないようにしよう。 リズムが独特なため一度変にハマってしまうと抜け出しにくいので気をつけよう。 名前 コメント 67~70小節が最重要地帯。繋がれば大回復、外せばクリア不能にまで陥ってしまう -- HID+SUDラーはやり込み推奨。カレーEXやトラウマパンクEXへの布石になり得る -- とにかく曲のリズムを掴むこと それだけでかなり楽になる -- 適正HSで譜面が詰まって見えにくい場合はHSを0.5上げると案外取れたりする。あとは体力勝負。 -- 手はボタンから離さず低空飛行で、なおかつふわっとボタンに軽く触るくらいのタッチでやると体力をキープしやすい -- 音楽センスを問われるような気がする -- 縦連打の曲に言えることだけどハイスピを落とすと見やすくなる。4速なら3・5速で。 -- 意外と個人差の出やすい曲かも -- 31小節の678→7→678は自信がないなら空BAD出してでも678三連がいいいいかも。下手にやってタイミング崩すのは避けたい -- 左手が弱い人は鏡にするとゲージがずっと真っ黒かも -- 左手でほぼ一定のリズムを叩く事になる。それ+右手で取る時が速さとタイミングの両方で難しい配置。 -- cs12のプリティ長嶋と譜面の感じが非常に似ているので、持ってる方は参考にどうぞ。 -- 67~70小節目は三角押し→逆三角押しの流れさえ掴めば大回復となり得るので、ぜひ押さえておきたい所。 -- 縦連打の回数を間違えたりと、意外に悪い癖が付きやすい。 -- この曲は譜面そのものの難しさで殺してくるのではない。なので譜面研究をしても効果は薄い。要は体力と慣れ。 -- この曲の鬼門は三角押しではなくて、この独特のリズムだと思うんだよな。曲の一定のリズムに体が慣れるまではむずかしく感じるかも。 -- 64~66節ができる人には40中、できない人には40強~詐称クラスに感じる曲 -- 叩く速度が速い上に終始縦連打、さらに終盤は交互も混ざるので、苦手な人には詐称レベル -- おそらくフロビEXとは、また違った同時押し曲かと。 -- 回復しにくく感じる曲なのでゲージが1度でも0になるとかなりつらい -- 音の強さにとらわれずに、やさしくすばやく叩く。 -- 得意BPMが160~190xHs4くらいの人にとってはBPM設定がし難く、鬼門かもしれない。 -- 67〜70も注意。一度ズレ出すと止まらず死ねます。 -- リズム難でもあるので先にHをやってある程度慣らしておくと叩きやすくなることもある。 -- 道中は黄を意識した方がいい。自分は鏡推奨。あと体力必須。 -- 64~65小節は譜面を見て押し方を決めておくといい。 -- 思い切り本気で常時発狂してやれば意外とあっさり出来る時も -- ミラーをかけると、中盤の同時押しの部分が見やすくなることも。 -- 常に左手が動いているような状態になるため、腕を痛めないよう注意。 --
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みんなでストライクウィッチーズ世界のウィッチ一覧を作ろう! このページの目次 国別のページ ウィッチ一覧 国別のページ 国別キャラ - 扶桑皇国 国別キャラ - 帝政カールスラント 国別キャラ - ブリタニア連邦 国別キャラ - ガリア共和国 国別キャラ - ロマーニャ公国 国別キャラ - リベリオン合衆国 国別キャラ - スオムス 国別キャラ - オラーシャ帝国 国別キャラ - ヒスパニア 国別キャラ - オストマルク 国別キャラ - ダキア 国別キャラ - モエシア 国別キャラ - ギリシャ 国別キャラ - ベルギカ 国別キャラ - バルトランド 国別キャラ - アウストラリス連邦 国別キャラ - アンドラ 国別キャラ - 南アフリカ 国別キャラ - ニューゼーラント 国別キャラ - シャムロ王国 ウィッチ一覧 このウィッチ一覧は自動生成です。国別のページを編集すると自動的にそれが反映されます。 扶桑皇国扶桑皇国陸軍(航空)穴拭智子 稲垣真美 犬房由乃 江藤敏子 大林照子 樫田勇美 加東圭子 加藤武子 角丸美佐 川口文世 黒江綾香 黒田那佳 笹内さと子 佐野火乃香 渋谷いのり 諏訪天姫 諏訪五色 諏訪真寿々 鷹見忠江 中島小鷹 中島錦 中島疾風 福原捷美 生田 今本 扶桑皇国陸軍(陸上)北野古子 扶桑皇国海軍秋山典子 石田燿子 樫口嘉奈 雁淵孝美 雁淵ひかり 管野直枝 菊田利恵 北郷章香 国崎燈子 小村定恵 近藤祥子 坂本美緒 坂谷茂子 迫水ハルカ 下原定子 新藤美枝 竹井醇子 中岡柚子 西沢義子 服部静夏 松田昌子 森岡寛 横川和美 三隅美也 宮藤芳佳 目白啓子 若本徹子 小林 渡辺 西澤 太田 本田 朋子 帝政カールスラントカールスラント空軍ヒルデガルト・アルトナー ゲルトルート・バルクホルン フレデリカ・ベッカー ハインリーケ・ベーア フーベルタ・フォン・ボニン ヘンリーケ・フォン・ビューロウ・ボートカンプ ハンネ・ダンマース エミーリア・デムート マリア・マグダレーネ・ディートリヒ ハンナ・ドーテンマン ヴェンデルガルド・ファルク ハンナ・フィリーネ アドルフィーネ・ガランド フランツィスカ・ゴッツ エルナ・グロート エーリカ・ハルトマン ウルスラ・ハルトマン ゲアトルーデ・ホムート レナーテ・ホルター ヴァーリア・ホルター オティーリエ・キッテル ヴァルトルート・クルピンスキー ヘンリーケ・キューネッケ グーニラ・ランツ カルラ・ハインリーケ・ランガー ヘルマ・レンナルツ ヘルミーナ・ヨハンナ・ジークリンデ・レント エディタ・プリンツェシン・ツール・リッペ=ヴァイセンフェルト フレデリカ・ロージヒカイト フリーデリケ・ロージヒカイト ハンナ・ユスティーナ・マルセイユ ヴェーラ・メルダース ルドルフィン・ミューラー エディタ・ノイマン テオドーラ・オステルカンプ ライーサ・ペットゲン グンドュラ・ラル ゲオルギーネ・リヒター エディータ・ロスマン ハンナ・U・ルーデル エリカ・ルドルファー リーケ・ザクセンベルク ハインリーケ・プリンツェシン・ツー・ザイン・ウィトゲンシュタイン ヴェンデルガルト・シェンク ハイデマリー・W・シュナウファー エルフリーデ・シュライバー ヴェンデリーン・シュレーア オティーリエ・シュルツ グーニラ・シュペヒト ヴォルフヒルダ・トネ テオドーラ・ヴァイセンベルガー ヨハンナ・ウィーゼ ミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ パウリーネ・ツォルナー アーデルハイド フラバク シュトライプ カールスラント帝国航空隊オズヴェルタ・ベルケ マキシ・インメルマン カールスラント陸軍シャーロット・リューダー フレデリカ・ポルシェ 民間 ブリタニア連邦ブリタニア空軍ドロレス・バーダー エリザベス・F・ビューリング リネット・ビショップ ミニー・ビショップ ジャネット・カニンガム ペトラ・ダンフォード ナタリア・F・デューク デリア・M・ジェラム アドルファ・マラン グリゼル・J・マーフィー ヴァージニア・ロバートソン パトリシア・シェイド ハリエット・スティーア ブラハム ブリタニア海軍リタ・A・ブラブナー レジーナ・H・P・カーバー ブリタニア陸軍セシリア・グリンダ・マイルズ 王立ファラウェイランド空軍ウィルマ・ビショップ 民間アリエル・C・ロー ガリア共和国ガリア空軍/自由ガリア空軍ジャンヌ・アカール フランソワーズ・ド・ジョッフル・ド・シャブリニャック ぺリーヌ・クロステルマン レーヌ・フォンク エレオノール・ジョヴァンナ・ガション ガビー・ゴーティエ ピエレッテ・ル・グローン ジョーゼット・ルマール アルベルティーヌ・リトルフ エディト・M・ラメレー アメリー・プランシャール ロザリー・ド・ラ・ポワプ ジャクリーヌ・ド・ピュイビュスク 民間・その他クリス・キーラ R・アンリィオン ロマーニャ公国ロマーニャ空軍ジョヴァンナ・ボネ シルヴィ・カリエッロ ジュゼッピーナ・チュインニ マルチナ・クレスピ フェデリカ・N・ドッリオ ユーナ・ドラーゴ フランチェスカ・ルッキーニ フェルナンディア・マルヴェッツィ テレーザ・マルティノーリ ルチアナ・マッツェイ カルラ・ルースポリ アウローラ・サンソン エンリーカ・タラントラ ルイーサ・トルキオ アドリアーナ・ヴィスコンティ ロマーニャ海軍デ・ラ・ペンネ リベリオン合衆国リベリオン陸軍クラリッサ・アンダーソン リー・アンドレア・アーチャー ウェンディ・B・ベイリー ドミニカ・S・ジェンタイル フランシー・ジェラード ジェーン・T・ゴッドフリー ジーン・ランダース カーラ・J・ルクシック パメラ・W・マッケノン ジーナ・プレディ ドナ・ストレイト グレイス・メイトランド・スチュワード ベルタ・ウェルチ シャーロット・E・イェーガー リベリオン海軍セシリア・E・ハリス キャサリン・オヘア サミー・L・シルバ ジョアンナ・エリザベス・スタッフォード ジェーン・S・サッチ ベス イングリット マリー リタ サリー リンダ ヴィヴィアン シェリル シンディー リベリオン海兵隊ドロシー・ベイカー ジェニファー・J・デ・ブランク マリアン・E・カール ジェイミー・E・スウェット 民間グレンダ・H・カーチン レベッカ・H・フリート ライト姉妹 スオムススオムス空軍ミカ・アホネン エイラ・イルマタル・ユーティライネン ニッカ・エドワーディン・カタヤイネン エルナ・キンニュネン エルマ・レイヴォネン アイラ・ペイヴィッキ・リンナマー エイニ・アンティア・ルーッカネン エリカ・リリィ ラウラ・ニッシネン エルセ・リーヒカッリオ ウーラ・サルヤモ ハンナ・ヘルッタ・ウィンド ピィヨツィア マグヌッソン アウリッキ ヒリヤ キエロ マリッカ シーリ タイナ テッポ トイニ スオムス陸軍アウロラ・E・ユーティライネン ハロネン レーヴェンシュライホ オラーシャ帝国オラーシャ陸軍サーニャ・V・リトヴャク アレクサンドラ・I・ポクルイーシキン マリーシャ・ラスコーヴァ リュドミラ・アンドレエヴナ・ルスラノヴァ アリョーナ・V・シュロポフ オラーシャ空軍アーリャ・V・アレリューヒン ジーナ・バエブスカヤ レイラ・A・ガリチェンコ ガリーナ・D・コストイリョーフ ブロニスラヴァ・フェオクチストヴナ・サフォーノフ レイラ・L・シェスタコフ アントニナ・D・ヤキメンコ オラーシャ海軍 不明・その他ヴァレーリヤ・S・グリゾデュボワ ナージャ・ポポワ チカーロフ ヒスパニアヒスパニア空軍アンジェラ・サラス・ララサーバル オストマルクオストマルク空軍グレーテ・M・ゴロプ エウゲーニャ・ホルバチェフスキ アレクサンドラ・シェルバネスク ラウラ・トート カールスラント空軍ヴェスナ・ミコヴィッチ ヴァルトラウト・ノヴォトニー ブリタニア空軍スターシャ・スカルスキ ヴィクトリア・ウルバノウィッチュ ダキアダキア空軍コンスタンティア・カンタクジノ モエシア王立モエシア空軍ストヤナ・ストヤノワ ギリシャギリシャ空軍ヴァシリーサ・M・ヴァシリアデス ベルギカ王国ブリタニア空軍イザベル・デュ・モンソオ・ド・バーガンデール ロザリー・ド・エムリコート・ド・グリュンネ バルトランド民間カルラ・G・E・フォン・ローゼン アウストラリス連邦アウストラリス連邦空軍ロビーナ・ガイバース ブリタニア海軍ノーラ・テイラー 南アフリカ所属不明マティルダ アンドラ公国イリス・モンフォート ニューゼーラントニューゼーラント空軍マナイア・マタワウラ・ハト シャムロ王国シャムロ王国軍クラマース・ブレンガーム
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聖戦と死神 第四部「黒色の死神」~英雄の帰郷~ Chronicle 2nd←クリックで前画面に戻る アルヴァレス亡命の報は 帝国のみならず ガリア全土に強い衝撃を響かせ疾った… 時代は英雄を求め 反撃の狼煙は上げられた 旧カスティリヤ領が 帝国に対し独立宣戦を布告 旧ロンバルド領 旧プロイツェン領がそれに続き 帝国内部で高まりつつあった聖戦への反感が遂に爆発 アルヴァレスを頼り 軍・民・問わず亡命者が殺到 更に熾烈な四正面作戦を強いられた帝国は 次第に領土を削られ 国力を疲弊していった… そして…戦局の流転は 時代にひとつの決断を投げ掛ける… それは…皇帝 聖キルデベルト六世より プリタニア女王へと宛てられた一通の親書… 帝国暦四年『ベルセーヌ休戦協定会談』 帝国領イヴリーヌ ベルセーヌ宮殿 大理石の回廊を進む薔薇の女王 左にはパーシファル 右にはアルヴァレス 柱の陰には招かれざる客… 黒の教団より放たれし刺客… 死角より放たれし時(クロ)の凶弾… 嗚呼…歴史は改竄を赦さない… 凍りつく時間の中を 崩れ堕ちるアルヴァレス パーシファルの雷槍(ヤリ)が閃き 崩れ落ちるゲーフェンバウアー それは…歴史の流れが変わる瞬間だろうか? それとも最初から全て決められていのだろうか… 「…先に逝ったのか…ゲーフェンバウアー…人間(ひと)とは全く…哀しい生物(もの)だな…」 彼を誘う最期の闇 その中にさえ… 「嗚呼…朱い…何て朱い夕陽なんだ…シャルロッテ…私は必ず…必ず帰って…」 ブリタニア暦630年 英雄アルベール・アルヴァレス イヴリーヌ(ベルセーヌ)宮殿 にて暗殺者の凶弾に倒れる… 彼の墓碑銘にはルーナ・バラッドが捧げた詩の一節が刻まれた… 多くを殺し 多くを生かした 多くを悩み 多くを為した <ベルガの同胞>(アーベルジュ)ここに眠ると… ガリア全土を巻き込んでなお停まらない大戦 その終結には…更に多くの血と涙 五年の歳月を要するのである… 夕陽に染まる丘 寄り添うように並ぶ二つの墓標 白鴉が凛と羽ばたいて往く 終わらない空の向こうへ…
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01 召喚 ガリアの首都リュティスの東端に位置する、王家の人間が住まうヴェルサルテイル。 その中心、現ガリア王ジョゼフ一世の為政するグラン・トロワから離れたところにある小宮殿プチ・トロワ。 薄桃色が特徴的なその宮殿の、春のうららかなる陽射しを浴びる中庭。 ガリア王国の王女にして、ガリア国内の裏の仕事を一手に引き受ける機密の騎士団――北花壇騎士団の団長たるわたしは、そこにいた。 その理由は、騎士団の一員であるシャルロット――通称七号、別名ガーゴイル、人を人でないかのような見方しかできないあの忌まわしき感情欠落者、いや欠陥品と言うべき操り人形、そのくせ魔法だけはちょっとでき――いや、ただ運がいいだけで、死ねば楽になれるというのにしぶとく任務から生き残って帰ってくるゾンビのごとき……まあいいや。 とにもかくにも、わたしは今、この中庭でサモン・サーヴァントを行おうとしていた。 今頃は留学先である小国トリステインの魔法学院で、同じく使い魔召喚の儀式に参加しているであろう“アレ”に対抗してのことだ。 わたしは中庭の中央に歩み寄り、杖を取り出した。 呪文は昨夜のうちに必死になって暗記した。魔法のことで努力したのはいつぶりだろう? 遠い昔に「才能がない」と見る目なしの生意気な愚臣たちに陰で囁かれて以来、面倒で練習をやめてしまったのは……いや、どうでもいいことね。 大事なのは今よ、今。 過去のことをあーだこーだ言っても変わりはしない。そんな些細なことよりも、この“召喚”が重要だ。 トリステイン魔法学院では生徒が二年生になると、彼らは全員使い魔を召喚することになる。それを思い出したのは先日の昼間、気弱そうな侍女をいびり飽き、ふと宙を仰いだ時だった。 そういえばあのガーゴイル、どんな使い魔を召喚するのかしら? ↓ どうせチンケで小汚い野禽、いやそれどころか本人にお似合いなゴミ同然の羽虫ね! ↓ わたしがアイツよりうんと素晴らしい使い魔を召喚して、嘲笑ってやろう! 要約するとそんな感じ。 本当は優秀な才能が秘められているわたしなら、あのクソ生意気で悪運の強い人形娘よりも優れた使い魔を召喚できるに決まっている。 サモン・サーヴァントは何が使い魔として来るか選べないけど……ま、もしちゃちいのが来たらその場で“始末”してしまえばいいのよ。使い魔が死ねば、また新しい使い魔を召喚できるんだから。 わたしは杖を構える。深呼吸。精神を落ち着かせ、ゆっくりと呪文を紡いだ。 「我が名はイザベラ・ド・ガリア――」 朗々と、声高に――全てはあのガーゴイルを惨めな思いにさせるためにッ! さあ、来なッ! 幻獣のなかでも最高位――“竜”! それがわたしに相応しい使い魔だッ! 紛うことなきホンモノを見せつけて、わたしが有能なメイジだって思い知らせてやるッ! ――わたしのための、“力”よッ! そして――次の瞬間、強烈な風圧にわたしは吹き飛ばされた。無様に地面を滑り、草が服に纏わりつく。おまけに手がひりひりと痛んだ。擦り傷ができてしまったらしい。 だけど、そんなことはどうでも良かった! 自然と歓喜に震える。これだけ派手な登場なんだから、きっととんでもない大物に違いない! わたしは顔を上げて、いまだ砂塵が朦々とするなか、使い魔を確認しようとした。 ……ああん? 顔をしかめる。すでにそよ風が煙を晴らしはじめているのに、シルエット一つ見えなかった。 竜は? アレを見下してやるための幻獣は? わたしの使い魔は? 訳がわからず、わたしは呆然とした。上下を確かめるが、やはり“生物”の影は一つもない。そんなバカな……! 「だれか! さっさと来なさいッ」 わたしの怒鳴り声に、数人の侍女が駆けつける。傷を確認しようとする侍女の手を払い、自分でもひどく冷たく感じる声で問うた。 「答えなさい……わたしの使い魔はどこかしら?」 ひっ、と皆が皆、不愉快な声を上げる。その様子に苛立ちが募る。 まったく、これだッ! わたしが何か言うたびにこいつらは戦々恐々とする。 “お遊び”のときにはこういう様を眺めるのは滑稽だけど、なんでもないときにされるのはウザったいったらありゃしない! わたしは静かな怒気を湛えて近くの侍女を睨みつけた。ちゃんと答えなかったら……どうなるかわかるわよねぇ? こちらの意を察したのか、侍女はぶるぶると震える手で一点を指差した。だけど、そこに“生き物”はいない。 わたしは侍女の首根っこを優しく掴んで、今度はほほえみを見せながら言った。 「ねえ、正直に言ってくれない? ――わたしが召喚した使い魔は、何かしら?」 いよいよ顔を真っ青にした侍女は、やはり指先の方向を変えずに震える声を絞り出した。 「あ、あの、……剣です」 わたしは邪魔な侍女を突き飛ばすと、召喚を行った地点へ歩み寄った。すぐに辿り着き、憤怒を目に宿して「ソレ」を見下ろす。 どういう材質を使っているのか、その剣身は炎のような赤橙色。こういうのに疎いわたしでも、刃の鋭さでこれは相当なものであるとわかる。 確かに、見紛うことなく、希望を打ち砕くように、それは剣だった。 わたしは唐突にそれを踏みつけた。一回で収まるはずがない。何度も、何度もだ! 出てきたのは意のものではなかった。というか、生物ですらない。ふざけんじゃないわよ! 足蹴にした剣を拾い上げる。火のメイジに命じて溶かしてやるためだ。あとは地中にでも埋めてしまえばいい。 それから再召喚を―― 「な……ッ」 だけど剣を握った瞬間、わたしは言い知れぬ感覚を得て絶句した。 なんなのよ、これは。 奇妙を通り越して、明らかに異常だ。 王女という好きなことができる身分のため、これまでさまざまなマジックアイテムを見たり使ったりしてきたけど、こんなものはまるで記憶になかった。 わたしはぐっと柄を握った。女には――いや、大の男でさえ出せぬような力。そんな力で、わたしは今、柄を握っている。 震える。歓喜か、戦慄か。思わずくつくつと笑いを漏らしてしまう。 最低最悪のものを召喚したと思っていた……だけど違った! 剣なんてメイジには不要? とんでもない! こいつには強大な力が秘められている。歴戦の傭兵がこの剣を持てば、たとえスクウェアクラスのメイジでさえ敵うかどうか。 そして有能なメイジがこの剣を持てば……? 「――この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」 コントラクト・サーヴァント。召喚した使い魔と契約するスペル。 剣の魔力に惹きつけられるようにして、わたしはその剣の柄に口付けをしていた。……直後、あんな足蹴にするんじゃなかったと少し後悔。 そして使い魔のルーンが刻まれ……ない? 無生物相手に契約したらどうなるかなんて前例がないからわからないけど、こうして反応がないと不安が湧いてくる。 ――直後、強烈な感覚がわたしの頭を襲った。 ぐるぐると目眩がする。頭が痛い。これは、なに? 視界が歪む。膝をつく。地に伏す。 脳裏に一瞬、影が浮かんだ。あなたは、だれ……? 「…………ヴォル、テール……」 わたしは意識を失った。 NEXT
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(投稿者:エルス) エルス クロッセル ルミス 国家 概要 国土の南側がグレートウォールに隣接し、東側はガリア侯国に隣接し、その先にエントリヒ帝国を望む連邦制共和国。 永世中立国、直接民主主義国家であり、国家元首が存在しない国である。 ルージア大陸戦争時には武力によって国土を守り、中立を保った重武装国家としても知られる。 それは現在も同じであり、エントリヒ帝国やクロッセル連合、海を越えてアルトメリアからも武器を輸入している。 よって民家と思ってたのがトーチカだったり、道路を戦車が悠々と走ってたり、何処の民家に行ってもライフル銃があったりする。 グレートウォールに隣接する南方では一部要塞化されており、特に対空装備は前線と比べてもなんら差は無いというほど充実している。 首都は国の中心よりやや左へずれた所にある「ヒーレン」で、大聖堂と時計等を初めとし、クロッセル地方最長といわれる6キロにも亘るアーケードもある都市で、平日休日を問わず賑わっている。 また、国土の標高が高いために農業などの産業を発達させにくく、傭兵がひとつの産業となっているが、最近になって自国内生産の兵器輸入も行われている。 クロッセル連合王国に属しているが、その軍事力の殆ど(というより前述の傭兵以外の全部)が国土防衛に向けられている。 軍は陸軍のみだが、航空隊、船舶部隊も保有し、航空隊はフライ級及び所属不明機を迎撃、船舶部隊は国土内の二つの湖に配置されている。 国旗はクロスした二本の赤剣の上に青十字、それ以外の所は白地。 瑛語表記 The Rumis Confederation 楼蘭語表記 留身州(留国) 連邦大統領 デュドネ・ジェルヴェーズ連邦参事 首都 ヒーレン 公用語 エントリヒ語 エテルネ語 ほか 通貨 ユニロ、ユニセント モデル スイス連邦 関連人物 フルス・エヴァンス 所属・出身メード アルヴィト 都市・地名 ヒーレン(首都) フェーザル(ガリア侯国国境に面した商業都市) ジエナード(エテルネ語圏最大の都市) 企業 ルミスアームズ ルドルフ&エドワード 軍隊・組織 クロッセル連合陸軍ルミス駐留軍 ルミス防衛団 ルミス連邦傭兵旅団
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前ページ次ページ魔眼の使い魔 真っ赤な空に回転する巨大な歯車 地平の彼方を覆う煉獄の炎 荒れ果てた大地に墓標のように突き刺さる剣、剣、剣 「何なのよ、何なのようコレは!?」 パニクるルイズを庇い赤い外套の男と対峙するメドゥーサ 「挨拶も抜きでイキナリ“無限の剣製”ですか英霊エミヤ」 「嫌な仕事は先送りしない主義なのでね」 肩を竦めるエミヤシロウ 「“守護者”である貴方がこのハルケギニアに何の仕事で?」 「本来ならコッチは『アラヤ』の管理外なのだがね、君らが好き勝手やるものだからとう とう私が出張する羽目になってしまったのだよ。もっとも管理外世界に渡るためにガリア 王の召喚に便乗するという裏技を使わせてもらったがね」 左手を持ち上げたエミヤの二の腕に輝くガンダールヴのルーン 「成程、ルーンの力で基本性能が軒並みブーストされているのですね」 つまりエミヤではなくE・M・I・Y・A 「これでは二人がかりでも勝ち目は薄いぞ?」 ティファニアを庇いつついつになく真剣なハサン 「それよりも問題なのはエミヤの左腕にルーンが刻まれているということです」 ビキィッ! エミヤの頬が引き攣る 「つまりエミヤはガリア王とコントラクト・サーヴァントを……」 「きゃ~~~~~~~~~~~~~~ッ!!」 今目の前にある危機も忘れ腐った歓声を上げるルイズとティファニア 「ぬがああああああああああああああああツ!!!」 血涙を流しながら突っ込んで来たエミヤが手じかな地面に突き立った剣の柄に手をかける 「くあせN8#ph16&;@+p¥ふじこ!?!」 耳と鼻と口から鮮血を迸らせ崩れ落ちるエミヤ 「流石の英霊エミヤも、否、英霊エミヤだからこそこの剣の『毒』には耐えられんかった な」 「随分な言い草だね~命の恩人に向って。ま、久し振りの再会だしかわいこちゃんもいる から全然オッケーだけどね」 ヌラヌラと青光りする刀身をくねらせて軽薄そうに笑う剣 「何故、何故貴方がここにいる…“魔剣ワカメ”!?!」 前ページ次ページ魔眼の使い魔
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他の勢力 ネルウィ 「勇気。厳粛。伝統。」 背景 ケルト人とゲルマン人の中間のような存在であるネルウィ族はガリア北部に居住するベルガエ人であり、最も凶猛にして恐れを知らず、その剽悍さは近隣部族に鳴り響いています。 紀元前57年のサビス川の戦いではカエサルの軍団を奇襲し、敗北寸前にまで追い詰めました。戦いに参加した60,000人ものネルウィ族の戦士は残り500人になるまで抵抗を止めなかったのです。彼らは勇敢であることを規範の中心とし、その外貌と評判はスパルタ人に似ていました。彼らは全ての贅沢(特に酒類)を忌避し、それらは精神と肉体を弱める物として退けました。その代わりに彼らの起源であるケルト人とゲルマン人の伝統を尊重し、英雄である戦士を崇拝しました。そのため彼らは並外れた武勇と強力な統率力のある人間を王と族長に選んでいました。 ネルウィ族は戦いにおいて個人的な技能と勇敢さに重点を置き、投槍を除いた投射武器と騎兵を用いることは稀でした。それよりも待ち伏せを好み、敵が現れるや否や稲津のように突進して敵に接近戦を挑みました。 キャンペーンの開始時、ネルウィはアトレバテス族やメディオマトリキ族のような近隣部族と強い信頼関係があり、それだけでなく遠くブリタニアに居住するベルガエ人とも連絡網を構築することができます。従って彼らはガリアの中心部へと侵攻しつつ同盟者との結びつきを強化できる絶好の位置にあると言えます。そして彼らの恐るべき戦い振りと技能により、ネルウィ族は南方あるいは東方に領域を拡大する大きな可能性を持ちます。 恐れ知らずの戦士であるネルウィ族は待ち伏せに熟達しており、自領での戦闘では士気が向上します。しかし質素を旨とした生活様式のため商業や工業から得られる収入は非常に低くなるでしょう。
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このページでは【ドラガリアロスト】のキャラクター、 ニコラ を解説する。 【ポケットモンスター XY(アニメ)】?のキャラクターは【ニコラ(アニメ版ポケットモンスター XY)】?を参照。 プロフィール 作品別 コメント プロフィール ニコラ imageプラグインエラー ご指定のファイルが見つかりません。ファイル名を確認して、再度指定してください。 (1.png) 他言語 種族 【ヒューマン】 性別 男 職業 魔法学院生 趣味 読書 特技 暗記 好き 勉強 苦手 運動 声優 村瀬歩 初登場 【ドラガリアロスト】 知識豊かな魔法学院生。 優秀な生徒であり、一度興味を示すと周りが一切見えなくなるほど没頭する理系体質。 授業の一環で研究対象を探していたところ、城に辿り着いた。彼曰く、とても貴重なものらしい。 作品別 【ドラガリアロスト】 性能 二つ名 夢追う知識目録 (ドリーミーナレッジ) ★ 属性 武器 タイプ HP 攻撃 3 風 ロッド 攻撃 711 486 入手 実装日 レジェンド召喚初期配布 2018/09/27 スキル ウィンドスペル(シェア可能/4) Lv3 ターゲットとその周囲の敵に風属性のダメージを与える。 ガストスペル Lv2 直線上の敵に風属性のダメージを与え、「気絶」状態にし、15秒間、パーティ全員の防御力を10%アップする。 Lv1 直線上の敵に風属性のダメージを与え、15秒間、パーティ全員の防御力を10%アップする。 EXアビリティ スキルダメージ+15% パーティ全員のスキルダメージが15%アップする。 リンクEXアビリティ 【風】守勢 プロテクトリンク・耐水+5% パーティ全員が以下のアビリティを得る。キャラが風属性なら防御力アップのバフを受けたとき、【15秒間、水属性耐性を5%アップするバフ】が発動。この効果は発動してから15秒間は発動しない。 アビリティ プロテクトリンク・治癒Ⅱ 防御力アップのバフを受けたとき、【20秒間、HPを継続回復するバフ】が発動。 凍結耐性+50% 「凍結」状態になる確率が50%ダウンする。 凍結耐性+25% 「凍結」状態になる確率が25%ダウンする。 引用 ドラガリアロストDB【ドラガリDB】 サービス初期から実装されている低レアキャラ。 気絶状態を付与できるアタッカー。 2020/06/29からは初期配布されるようになり、レジェンド召喚からの排出が停止された。 2020/09/24から配信されたVer.2.0.0以降はスキル2種類の威力が増加し、「ガストスペル」に防バフが追加された。 コメント 名前 全てのコメントを見る?